【コラム記事 vol.61】科学がもっと進歩した未来、コスプレはどうなっているんだろう?

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こんにちは、コスメディア編集長の五十嵐赤鬼です。

突然ですが、皆さんは「科学の進歩」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

宇宙開発、AI、ロボット、自動運転、医療……。

色々なものが思い浮かぶと思いますが、最近ふと「科学が進歩することで、人間ができることって本当に増えたよなぁ」と考える機会がありました。

特に分かりやすいのが医療です。

今から100年ほど前まで遡ってみると、現在では治療法が確立されている病気であっても、当時は命に関わる重大な病気でした。

たとえば結核。

1940年代に抗生物質のストレプトマイシンが登場し、その後さまざまな薬を組み合わせた治療法が確立されていきました。梅毒についても1940年代にペニシリンによる治療が広まり、医学は大きく前進しています。

そして21世紀に入った現在。

医学はさらに進み、病気になった後に薬を投与するだけではなく、遺伝子そのものを治療対象とする「遺伝子治療」まで実用化されるようになりました。

実際にアメリカでは、遺伝性疾患を含むさまざまな病気に対する遺伝子・細胞治療が承認されています。少し前までSFのように思えた「遺伝子に働きかけて病気を治療する」ということが、すでに現実の医療になり始めています。

もちろん、すべての遺伝性疾患が治せるようになったわけではありません。

それでも、この先さらに研究が進めば、今は治療が難しい病気に対しても、新しい治療法や、場合によっては根本的な治療を目指せるようになるかもしれません。

そんなことを考えていたとき、ふと思いました。

「じゃあ、コスプレはどうなんだろう?」

今回はそんなところから、少しコスプレの過去を振り返りながら、科学や技術が進歩した未来のコスプレについて考えてみたいと思います。

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今では当たり前になった「コスプレ」も、最初から今の姿だったわけではない

まず、少し昔のコスプレについて振り返ってみます。

現在では「コスプレ」という言葉を聞けば、アニメや漫画、ゲームなどのキャラクターになりきる文化として、ほとんどの人がイメージできると思います。

しかし、当然ながら最初から現在のような巨大な文化だったわけではありません。

コミックマーケットの公式年表を見ると、1978年頃から会場で「アニメ等に登場する人物の仮装をしてねり歩く」人たちが現れたと記録されています。

そして1980年のコミックマーケット15では「コスチュームプレイヤーが激増」と記録されています。

今ではコミケといえばコスプレを思い浮かべる人も多いと思いますが、その文化にも、少しずつ参加者が増えていった時代があったわけです。

ちなみに「コスプレ」という言葉自体が広がっていったのも1980年代頃。

当時の資料では「コスチュームプレイ」「仮装」などという言葉も使われていて、現在私たちが何気なく使っている「コスプレ」という呼び方も、長い歴史の中で定着していったものだということが分かります。

衣装をクリックひとつで買える時代ではなかった

そして、昔と今のコスプレで大きく違うもののひとつが、衣装を取り巻く環境だと思います。

今ならスマートフォンでキャラクター名を検索すれば、衣装が出てくる。

ウィッグも出てくる。

靴も出てくる。

場合によっては武器や小物までまとめて購入できます。

サイズを選んで注文すれば、数日後には自宅に届く。

改めて考えてみると、ものすごい環境です。

もちろん現在でも衣装を自作するコスプレイヤーさんはたくさんいます。

ただ、「自分では衣装を作れないけれど、このキャラクターのコスプレをしてみたい」という人でも、コスプレを始めやすい時代になったことは間違いないでしょう。

昔は現在ほど簡単にキャラクター専用の衣装を探して購入できる環境ではありませんでした。

となれば、

「この服は何で作ろう?」

「この形はどうやったら再現できる?」

「このパーツに使えそうな材料はないかな?」

と、自分たちで考え、身近にあるものを利用しながらキャラクターに近づけていく必要があります。

今より便利ではなかったからこそ、「どうやって作るか」という部分もコスプレの大きな楽しみだったのかもしれません。

カメラの進歩も、コスプレを大きく変えた

そしてカメラマンの自分としては、これは外せません。

「写真」です。

日本でコスプレ文化が広がり始めた1970年代後半から1980年代、そして1990年代頃までは、写真撮影といえばフィルムカメラが中心でした。

1980年代には一眼レフカメラの自動露出やオートフォーカスといった技術も進歩していましたが、それでも今のデジタルカメラとは撮影の感覚が大きく違います。

フィルムの場合、撮影したその場で写真を見ることはできません。

シャッターを切っても、

「ちゃんとピントが合っているのか」

「目を閉じていなかったか」

「露出は大丈夫だったか」

といったことは、基本的に現像するまで分かりません。

さらに、現在のSDカードのように何百枚、何千枚と気軽に撮影できるものでもありません。

一般的な35mmフィルムなら、一本で撮影できるのは24枚や36枚ほど。

今の自分のように、一回のイベント取材で大量にシャッターを切る感覚とはまったく違う世界です。

それが2000年代に入り、デジタルカメラが急速に普及していきます。

撮った写真をその場で確認できる。

失敗していれば撮り直せる。

フィルム残数をそれほど気にせず、たくさん撮影できる。

今では当たり前のことですが、これはコスプレ撮影にとってかなり大きな変化だったのではないでしょうか。

現在ではさらにカメラが進歩し、人物の顔や瞳を自動で認識して追い続けるAFまであります。

撮影後にはRAW現像ができ、Photoshopなどを使って細かな調整もできる。

スマートフォンですら、かなり高画質な写真を撮れる時代になりました。

カメラが進歩するたびに、コスプレ写真でできる「表現」も一緒に広がってきたのだと思います。

そして、一番大きくコスプレを変えたのはインターネットかもしれない

衣装やカメラ以上に大きな存在があります。

インターネットです。

今ではイベントでコスプレをしたら、撮影した写真をXやInstagramなどに投稿する。

全国、場合によっては世界中の人がその写真を見る。

同じ作品が好きな人とつながる。

次のイベントの情報を調べる。

衣装を買う。

ウィッグのセット方法を調べる。

メイクを勉強する。

撮影してくれるカメラマンを探す。

撮影した写真をオンラインで受け取る。

今のコスプレ活動のかなりの部分が、インターネット上で成立しています。

もしインターネットもSNSもなかったら、現在のコスプレ文化はまったく違う姿になっていたでしょう。

これも科学や技術の進歩によってコスプレが変わった例のひとつだと思います。

では、これから先のコスプレはどうなる?

ここからは完全に未来の話です。

10年後。

20年後。

あるいは50年後。

科学技術がさらに進歩したとき、コスプレは一体どうなっているのでしょうか。

個人的には、ここがすごく気になります。

たとえば衣装。

現在でも3Dプリンターを使って鎧や装飾品、武器などを制作することがあります。

これがもっと進歩して、家庭でも今以上に簡単かつ高精度に造形できるようになったらどうでしょう。

キャラクターの資料を読み込ませる。

AIが衣装の構造を解析する。

自分の身体を3Dスキャンする。

すると、自分の体型に合わせたパーツのデータが自動的に作られ、そのまま3Dプリンターで出力される。

そんなことも、いずれ当たり前になるかもしれません。

「光る衣装」から「動く衣装」へ

さらに面白いのが、衣装そのものの進化です。

現在でもLEDを仕込んで光らせたり、モーターを使ってパーツを動かしたりする衣装や造形があります。

では、そこからさらに素材や電子技術が進歩したら?

服そのものの色が変わる。

模様が動く。

キャラクターの変身に合わせて衣装の一部が変化する。

翼が自動的に開く。

鎧の一部が展開する。

身体の動きに合わせて発光する。

ゲームのキャラクターが画面の中で行っていることを、現実世界でも衣装そのものが再現する。

そんなコスプレが登場してもおかしくありません。

ARが進歩したら「魔法」まで再現できる?

そしてもうひとつ期待したいのがARです。

たとえば将来、ARグラスのようなものが今のスマートフォンと同じくらい普及したとします。

会場で魔法使いのキャラクターを見る。

肉眼では普通の杖を持っています。

ところがARグラス越しに見ると、その杖の先から炎が出ている。

魔法陣が浮かび上がる。

キャラクターの周囲にはゲームと同じエフェクトが表示される。

剣を振れば斬撃のエフェクトが飛んでいく。

イベント会場そのものが作品の世界になっている。

そこまでいったら、もはや「コスプレイベント」というより、作品の中へ入り込む体験に近いのかもしれません。

AIが衣装も写真も作る時代になったら

そして避けて通れないのがAIです。

これは未来の話というより、すでに始まっている話でもあります。

AIを使って画像を作ったり、写真を編集したり、アイデアを出したりすることはすでに可能になっています。

将来さらにAIが発達したら、

「このキャラクターの衣装を作りたい」

と言うだけで、

型紙を作って、

必要な材料を出して、

購入先まで探して、

作り方まで動画で教えてくれる。

そんなことも普通になるかもしれません。

写真についても同様です。

撮影した瞬間にAIが光を調整し、背景を補完し、作品に合わせた色を作り、ほぼ完成した状態で写真が出来上がる。

撮影というもの自体の考え方も、今とはかなり変わっている可能性があります。

便利になれば「コスプレする意味」は変わってしまうのか

ここまで考えると、ひとつ疑問も出てきます。

もし未来になって、

衣装はAIが設計してくれる。

機械が自動で作ってくれる。

メイクもサポートしてくれる。

写真もAIが綺麗に仕上げてくれる。

ARを使えば特殊能力まで再現できる。

そんな時代になったら、コスプレは今より簡単になりすぎてしまうのでしょうか。

自分で作る意味がなくなるのでしょうか。

個人的には、そうはならないような気がします。

なぜなら、現在だって同じだからです。

市販の衣装を買う人もいれば、一から衣装を作る人もいる。

既製品を改造する人もいる。

造形をすべて手作業で作る人もいれば、3Dプリンターを使う人もいる。

スマートフォンで写真を撮る人もいれば、大きなカメラとストロボを何台も持ち込んで撮影する人もいる。

どちらが正しいということではありません。

技術が増えたことで、表現する方法が増えただけなんですよね。

100年前から変わったもの、これから100年経っても変わらないもの

医療の歴史を振り返ってみると、100年前には想像できなかったことが現在では当たり前になっています。

コスプレも同じです。

1970年代、1980年代にコスプレをしていた人たちからすれば、世界中の人がスマートフォンで写真を見られて、キャラクターの衣装を海外から数日で購入できて、カメラが自動的に瞳を追いかけて撮影してくれる現在は、かなり未来的な世界に見えるのではないでしょうか。

ということは、今から数十年後。

自分たちが想像もしていない方法でコスプレを楽しんでいる人たちがいても、まったく不思議ではありません。

もしかしたら今回書いたARやAIですら、

「あの頃の人はそんな未来を想像していたんだ」

と言われているかもしれません。

ただ、ひとつだけ。

どれだけ科学が進歩しても、これは案外変わらないんじゃないかなと思っています。

「このキャラクターが好き」

「この衣装を着てみたい」

「このキャラクターになってみたい」

という気持ちです。

衣装の作り方が変わっても。

撮影するカメラが変わっても。

写真を見る場所が変わっても。

イベントの形が変わっても。

そもそもコスプレをする人がいなければ、コスプレという文化は生まれません。

1970年代にも好きな作品のキャラクターに扮する人がいて、2026年の現在にも同じように好きなキャラクターの衣装を着る人がいます。

だから、何十年後。

科学技術が今では想像できないほど発達していたとしても、

「好きなキャラクターになってみたい」

というコスプレの一番根っこの部分だけは、案外今と変わっていないのかもしれません。

そんな未来のコスプレを、自分もちょっと見てみたいなぁと思います。

投稿者プロフィール

赤鬼
赤鬼代表&カメラマン
webcosmedia代表&ライター
2018年にコスプレ撮影を開始。
関東を中心にコスプレイベントに参加。
使用機材:Nikon D780
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