コスプレイヤーの目線からコミックマーケットC102をレポート!【宇佐見坂うさり編】

 皆様ごきげんよう。

 初めて参加したコミックマーケットはC69、いにしえのコスプレイヤー宇佐見坂うさりと申します。
 今回は、2023年8月12日(土)・13日(日)に東京ビックサイトで開催された【コミックマーケット102】(以下:C102)について、コスプレイヤー視点でのレポートを執筆させていただきます(※取材パスの関係上、内容は1日目のみ)
 コミックマーケットのコスプレに興味があるけど踏み出せない方、すでに参加を経験された方にも、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

イベント概要

 今更ではありますが、簡単に「コミックマーケットとは何か?」について説明したいと思います。

 コミックマーケット(通称:コミケ)とは、1975年に始まり、今回で102回目を迎える、世界最大級の同人イベントです。
 開催は夏と冬、年二回を基本とし、毎回世界中から何十万人もの参加者が集まります。
 同人誌の頒布だけでなく企業出展や主催団体のイベント等なども積極的に行われており、一度の開催に対する経済効果は約180億円とも言われている等、国内イベントとしても最大級の規模を誇っています。
 また、本イベントの主催団体である「コミックマーケット準備会」(以下:準備会)は経済産業省や外務省を始めとした各省庁とも同人誌文化や創作文化を活性化するための意見交換等を積極的に行っており、コミケは長い歴史を持ちながらも現在の日本のサブカルチャーをけん引するイベントと言っても過言ではありません。

同人即売会のイベント主催と各省庁の担当者による意見交換会の映像

コミケとコスプレ

 そんな歴史あるコミケですが、私たちコスプレイヤーの大先輩である「コスチュームプレイ参加者」(まだ当時はコスプレイヤーという言葉も無かった!)が登場したのは、1978年の「コミックマーケット8」からだそうです。
 当時は少人数から始まったコミケのコスプレでしたが、長きを経て人が増え、エリアやルールが確立され、様々なメディアでも紹介されるようになりました。今や「コミケのコスプレ特集」とテレビや雑誌で特集が組まれるほど一つの目玉コンテンツへ成長しました。
 今回C102でのコスプレイヤーの参加者は約7000人(※コミケット準備会アフターレポートより)と発表されておりますが、コロナ禍前ではなんと2万人以上がコスプレ参加した回もあるなど、今ではたくさんの方がコミケでコスプレを楽しんでいます。

会場規模

 開催されるタイミングによって異なる場合ありますが、基本的には東京ビックサイトの全館を使用して開催されています。

 東京ビックサイトは東・西・南棟に分けられ、それぞれの棟でざっくりと参加ジャンルが分けられています。

 コスプレ参加者のエリアは毎回変化しますが、今回C102は「東7・8ホール」「南1・2ホール」「西棟の屋上」でした。

 東8・南2ホールは更衣室に割り当てられているため、実質撮影スポットとして提供されているエリアは「東7」「東8外」「南1」「西棟の屋上」の4か所です。

こちらのマップはコスプレイヤー用配布誌「ちぇんじ」にも載っています。

コスプレ参加方法について

 コミケでは、入場後に更衣室へ行き、コスプレ登録をすれば誰でもコスプレ参加ができます。
 ただし今回は入場区分についてコスプレ専用入場やアーリー入場など、少し複雑に分かれていました。
 入場区分ごとのコスプレ参加方法について、以下4点にまとめましたので、所感も添えて紹介させていただきます。(サークル参加を除く)
※次回以降も同じ区分とは限りませんので、参加時は各自必ず公式ページをご覧ください。

  • アーリー入場(事前抽選・事前支払い必須)
    10:30~入場できます。入場後にコスプレ先行入場専用以外の更衣室(今回だと東8ホール)へ行き、コスプレ料金を支払うことでコスプレ参加が可能です。更衣室待機列が伸びてきたら退出を急かされます。
  • コスプレ先行入場(事前抽選・事前支払い必須)
    会場前の9:30~入場できます。コスプレ料金は事前支払いに含まれており、当日の支払いは不要です。専用の更衣室が南2ホールにあり、後続の利用者を気にすることなくゆっくりと着替え・メイクすることができます。但し、11時まで南館から出ることはできません。
    ☆今回はこちらの入場方法で参加しました。
  • 午前入場
    11:00~入場することができます。入場後は各更衣室へ行き、コスプレ料金を支払いコスプレ参加します。更衣室に入るまでとても待ちます。友人のケースですが11:00に向けて来たけど、更衣室を出られるのは13:30だったとのこと……。
    参加のためには現地または事前のリストバンド購入が必要です。
  • 午後入場
    13:30~入場することができます。比較的すぐ入場できるので、コスプレ時間が短くなってしまうデメリットはありますが更衣室も少し空いているため待ち時間自体は少なく楽とのことです。
    こちらもリストバンドの購入が必要です。
コミケ前日に準備会からツイートされてました。もう少し早いツイートだと嬉しかった…

更衣室について

 以前までは更衣室といえば部屋内の区切られた中で床に直座りで着替える形式でしたが、コロナ禍以降は机と椅子が用意され座って行う形式に変わりました。

 室内は4つの区画(赤・青・緑・桃)に分かれており、利用料金を支払う際に指示された区画内で席を使い、着替え・メイクを行います。

 更衣室自体は毎回、比較的新しい棟に設置される傾向があり、エアコンの効きが良いです。汗を気にすることなくしっかりメイクできます。

 これは毎回共通ですが、入口で渡される冊子「ちぇんじ」は更衣室の入出の度に提示を求められることがあるので、着替え終わった後や更衣室に戻る際にはすぐ出せるカバンなどに仕舞っておきましょう。

 また、今回からの取り組みとしてメイク直しや荷物整理が行える「簡易スペース」ができました。お着換えやメイクがほぼ終わっている状態でしたらこちらの利用もおススメです。(なんと簡易お直しキットなども置いてありました。)

クロークについて

東8ホール、南1ホールにありました。
結構すぐ埋まってしまうので預ける場合は早めの利用をオススメ致します。

コスプレエリア・南1

 ここからは各コスプレエリアを回ってのレポートです。

 先行入場の更衣室から出て、すぐ横が南1ホールです。新しい建物のため、冷房もしっかり効いているため涼しく快適です。

 訪問時間は開場10:30~11:30まででした。

 比較的人は少なく広々としていました。吹き抜けがある関係上、同じ屋内でも東7ホールに比べて日光が少し入りやすいため、涼しい環境で比較的綺麗な写真が撮れます。

 他の時間帯に南1でコスプレしていた人達に話を聞いてみると、「併せ」などはこちらで行うことが多かったとのことで、エリア内でスペースが広めにとれるエリアのようです。

 プレス取材の数はまあまあ多かった、とのことでした。

更衣室を出た瞬間をコミケ取材班に激写される筆者。

コスプレエリア・東7

 東ホールの廊下の突き当りから、さらに横断歩道を渡った先にあるホールです。

 訪問時間は12:00~13:30、15:00~閉会まででした。

 開場後~12:00迄は一部が入場者の通路になっているため、東6から外に出て、ぐるっと外回りに向かうよう指示されることがあります。

 ホール内は屋内ですが少し暑いかもしれません。すぐ近くに自動販売機が置かれているので、水分補給はしやすく熱中症の心配は少ない環境だと思われます。

 日光がほぼ入らないため、コスプレエリアでは一番光源に乏しいです。撮影時は光源があった方が良いかもしれません。(実際に真っ暗に映ってしまった写真が多数ありました)

 東ホールでお買い物を終えた方や、東ホールで「売り子さん」をしていたコスプレイヤーが集まってくるため、午後~閉会直前はとても混雑しますので注意してください。

 比較的プレス取材が多いエリアです。

 余談ですが、時事ネタや一風変わったコスプレ(通称:ネタコスと呼ばれています)の人達はこちらか屋上にいることが多いので、ネタコスをされる方はこちらに来れば仲間に会うことができます。

通りがかりに撮影され、25万いいねもされたポスト(旧:ツイート)。偶然出会った時事ネタコス2人のコラボでした。
@yuruhuwa_kdenpa

コスプレエリア・東8屋外

 東8ホール内の更衣室前の出入り口から出て、右に曲がった先にあるスペースです。

 訪問時間は13:30でした。

 屋外ですがエリア自体は一番狭いです。唯一芝生があるエリアのため、芝生背景目的のコスプレの方が数名いた程度で、人は少なかったです。穴場かもしれません。
 場所が更衣室前なので、着替え直後や帰り際に自撮りをする分にはちょうどよさそうかな、という印象です。

 夕方に訪れた友人にも話を伺いましたが、プレス取材は少なめとのことです。

コスプレエリア・西館屋上

 西館屋上は、施設の改装や感染症対策などによって昔なじみのコスプレエリアが次々と無くなっていくなか、唯一残り続けている最古の屋外エリアです。コミケのコスプレと言えばここ!と考える方も多いのではないでしょうか。

 訪問時間は14:00~14:30でした。

 いざ屋上に上がると、快晴だったこともあり綺麗な青空が広がっており、「これぞ夏コミケのコスプレエリア!」という最高のロケーションで、やはりテンションが上がりました。

 コスプレイヤーの傾向としては、女性割合が一番高めです。人気のソーシャルゲームやVtuberなどのコスプレが多く、その中でも比較的水着などの露出が多い衣装の方が多い印象を受けました。
 コスプレイヤーの前にカメラマンの長蛇の列が次々とでき、私が見ている前でもいわゆる”囲み撮影”も頻繁に発生し、みんな盛り上がっていて一番活気のあるコスプレエリアだと思いました。とにかくライブ感が強いです。
 見ているだけでも楽しいぞ……!と見入ってしまいましたが、ここは直射日光の屋外。しかもコンクリートの照り返しもあるため温度はとても高く長居は危険です。写真を撮ってすぐ退散しました。
 こちらでコスプレされる方は、特に日射病と熱中症に気を付けてください。少しでも辛くなったら建物へ入り、こまめな休憩を心がけていただきたいです。

 最後にプレス取材についてですが、圧倒的に一番多いエリアでした。テレビ取材も雑誌の取材も多数来ていました。

どうしても撮りたかった、コミケの象徴▽屋根との記念写真。

 

コスプレエリア・西館屋上(移動)

 屋上エリアは経路がちょっとわかりづらい上に、今回特に過酷な環境だったので注意喚起も込めて解説させていただきます。

西館屋上へは、
 ・西館1階の中央エスカレーターを使い2階へ上がり外へ出る
 ・屋外のエントランスから続く階段を使用する
という方法でのみ向かうことができます。

 私は西館内のエスカレーターを使うルートを選びましたが、東館から移動するだけで30分ほどかかりました。
 西館1階はとても混雑しているため、エスカレーターに乗るだけでもかなりの行列でした。さらに空調の効きが弱く、気温が高い上に待ち時間が長いというとても過酷な環境になっており、私の周囲でも気分を悪くされた方がいました。

 私も並んでいる間、外にいるくらいの暑さと湿気で大量の汗をかき、体調の危険を感じました。慌てて体温を下げるために凍ったペットボトル等を使用しました。
 西館へ入る前には、タオルと冷たい飲み物などをすぐ出せるよう必ず準備してから向かいましょう。

役立ったグッズ

最後に、夏のコミケに参加する際に私が毎回持っていく「夏コミコスプレセット」をご紹介します。

  • 凍ったペットボトル飲料
    屋外に行くなら2Lペットボトルを1本、500mlを2本は用意しています。
    主に首や太ももに当てて体温を下げるのに使います。大きいほど遅く溶けるので、飲み切れなくてもとりあえず2Lあると便利です。スカートが長い場合はスカートの中に入れて体温調整したりもできます。
  • ペットボトル保温容器
    夏のコミケは想像以上に暑いです。凍らせた500mlのペットボトルは午前中には溶け切ってしまうので、凍った状態を維持できるクーラーがあると便利です。毎回命を救われています。
  • ゼリー飲料(ビタミンとエネルギー)
    水分をとりつつエネルギー補給とビタミン補給を行えるので、重宝します。食事後もお腹がぽっこりしないのでオススメです。
  • バスタオル&タオル
    屋上のコンクリートは太陽光を受け、灼熱の鉄板状態です。
    もし裸足や全身タイツ一枚のコスプレをされるなら、バスタオルを畳んで足元に敷くと少しは熱が緩和されますのでオススメです。普通のタオルも汗を拭くために忘れずに。
  • 日焼け止め&日傘
    屋外での休憩時や、待機時の日よけと日焼け止めは必須アイテムです。
  • 帰り用の下着
    夏コミはサウナくらい汗をかきます。体を冷やさないためにも下着はできるだけ取り換えて帰ると良いです。
  • お風呂セット
    東京ビックサイトの周辺や各路線には、沢山の温泉施設等があるのはご存知でしょうか。次の日の疲労が違うので、いつも温泉に入って帰るようにしています。

C102の感想

 ここからは感想を書かせていただきます。
 今回は感染症対策が緩和され、4年ぶりの人数制限なしのコミックマーケットでした。
 まだまだコロナ禍前の人数には及びませんが、それでも多くの参加者がいる光景を目の当たりにすると、「コミケが帰ってきた!」と感じることが多く、それだけでも嬉しかったです。

 取材時(1日目)のコスプレは「Twitterの青い鳥アイコン」という所謂"ネタコス"でした。 このアイコンは私がTwitterを始めた時から今年でちょうど10年、長い相棒とも言うべき存在でした。ところが今年、TwitterがXに変わってしまった際にいなくなってしまったため、お別れの意を込めてコスプレをしました。

 ネタコスというジャンルは時事ネタ等を扱う場合もあるため、コスプレとしてはちょっと異端とされる傾向があり、イベントによっては場違いとなったり微妙に歓迎されなかったりします。
 しかし、コミケは時事ネタを含め、ネタコスをひとつの風物詩として受け入れる風土があるため安心してコスプレをすることができます。この点においても、コミケは本当に全ての媒体に対して表現の自由がある場所なんだなと改めて思わされます。

実際にコスプレしてみると、色んな方が写真を撮りに来てくださっただけでなく、移動中ですら周囲の方が気軽に「あ!Twitterの鳥だ!」と手を振ってくださったり、「青い鳥さん大好きだよー!」「Xに負けないで!」と声をかけてくださったりしました。そういった声に返事をしながら「青い鳥、いなくなって寂しいですよね」とその場で軽くお話したりして、見ず知らずの方とも盛り上がることもしばしば。充実した楽しい時間を過ごすこともできました。なんと準備会のスタッフの方までもが「Twitterアイコンだ!」「私のアイコン、まだ青い鳥のままですよ!」などと走ってきて声掛けをしてくださったりして、改めてコミケという場のアットホームさを感じる出来事もありました。


 改めて、コミケでコスプレをすることの良さとは?と考えると、上記のようにコスプレを通じてその場の誰かと共通の”好き”や"面白い"などの感情を分かち合えるというところに集約しているのではないか、と思いました。

皆様も、コミケで"好き"を分かち合う、最高に楽しいコスプレ体験をしてみてほしいです。
コミケ、最高ですわよ~!

今回一番エモーショナルなショット。

以上、コスプレイヤー宇佐見坂うさりでした。

投稿者プロフィール

usari
usari
インターネット老人にしていにしえのコスプレイヤーお嬢様。
パーツモデルの傍らコスプレイヤーとしても活動中。
得意なコスプレは銃を扱ったコスプレや筋肉を使ったコスプレなど。

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